親を扶養に入れるデメリットは?税金・健康保険・介護保険で損するケース

親を扶養にいれるかどうか悩むイメージ 家計と制度

親が年金生活になると、

・親を扶養に入れたほうがいいのか
・税金はどれくらい安くなるのか
・健康保険や介護保険はどうなるのか

と気になる人は多いと思います。

実際、親を扶養に入れると税金は安くなる可能性があります。

しかし注意点があります。

税金の扶養と健康保険の扶養は別制度です。

そのため、

  • 医療費の自己負担が増える
  • 高額療養費の上限が上がる
  • 介護保険料が上がる

といったケースもあります。

つまり、節税だけを見て扶養に入れると、逆に家計負担が増える可能性もあるということです。

この記事では

  • 親を扶養に入れると何が変わるのか
  • 健康保険や介護保険で損するケース
  • 実際に家計にどれくらい影響があるのか

をわかりやすく解説します。

なお、扶養控除で税金がいくら安くなるかはこちらの記事で詳しく解説しています。

親を扶養に入れると税金は安くなるが医療・介護で損する場合がある

結論から言うと、親を扶養に入れると税金は安くなりますが、医療費や介護保険で不利になる場合があります。

理由は、扶養には次の2種類があるからです。

  • 税金の扶養(扶養控除)
  • 健康保険の扶養(被扶養者)

この2つはまったく別の制度です。

例えば、税金では扶養にできるが健康保険では扶養にできないということも普通に起こります。また、健康保険の扶養に入ることで

  • 医療費の上限が上がる
  • 介護保険料が上がる

など、税金以外の負担が増えるケースもあります。

つまり、親を扶養に入れるかどうかは税金だけでなく、医療費・介護保険も含めて判断することが大切です。

税金の扶養・健康保険の扶養の詳細については以下の記事をご覧ください。


親を扶養に入れると家計はどれくらい変わる?(年収別シミュレーション)

ここでは、会社員が70歳の親1人を扶養に入れるケースを想定して、家計への影響をシミュレーションします。

70歳以上の親は税法上「老人扶養親族」に該当します。
そのため扶養控除は次のようになります。

控除額の目安

区分所得税控除住民税控除
別居の親48万円38万円
同居老親等58万円45万円

この記事のシミュレーションでは、一般的なケースとして別居の親(所得税48万円・住民税38万円)の控除を前提にしています。

また、住民税は控除額の約10%が減税になるため、約3.8万円前後の節税が目安になります。

年収別の節税目安

会社員が70歳の親を扶養に入れた場合の節税目安は次の通りです。
(概算。実際は社会保険料控除などで多少変動します)

年収の目安所得税の節税目安住民税の節税目安合計の節税目安
300万円約2.4万円約3.3万円約5.7万円
500万円約3.8万円約3.8万円約7.6万円
700万円約7.6万円約3.8万円約11.4万円
900万円約9.7万円約3.8万円約13.5万円

所得税は累進税率のため、年収が高いほど節税額は大きくなる傾向があります。

例えば年収500万円の会社員が親を扶養に入れると、

  • 所得税 約3.8万円
  • 住民税 約3.8万円

合計年間約7.6万円程度の節税になるケースが多いです。

ただし医療費の自己負担が増えるケースもある

注意したいのが、高額療養費制度の自己負担限度額です。

高額療養費は、年齢や所得区分によって上限が決まります。
70歳以上の場合の代表的な区分は次の通りです。

所得区分自己負担限度額(月)
住民税非課税約8,000円
一般区分約18,000円

そのため、親がもともと住民税非課税世帯だった場合、

非課税区分月額 約8,000円

一般区分月額 約18,000円

のように、医療費の自己負担上限が上がる可能性があります。

この場合、税金では年間数万円の節税になっても、医療費の負担増で差額が小さくなることもあります。

年収別に見る「税メリット」と「医療面の注意」

次のように考えるとイメージしやすいです。

ケース税のメリット医療面の注意
年収300万円年間約5.7万円の節税親の所得区分次第で医療費上限の影響あり
年収500万円年間約7.6万円の節税非課税世帯だった場合は差額が出やすい
年収700万円年間約11.4万円の節税医療費や介護保険の世帯判定に注意
年収900万円年間約13.5万円の節税節税は大きいが制度面の影響も確認

親を扶養に入れると、年間5万〜13万円程度の節税になるケースが多いです。
ただし、親の状況によっては

  • 高額療養費の区分
  • 住民税非課税世帯の扱い
  • 介護保険料

などが変わる可能性があります。

そのため、親を扶養に入れるかどうかは税金だけでなく医療費や介護保険も含めて判断することが大切です。

親を扶養に入れると損する可能性があるポイント

ここは見落とされやすいポイントです。

高額療養費の上限が上がる

高額療養費制度とは医療費が高額になったときの自己負担上限制度です。

上限は年齢や所得によって決まります。

親が低所得の場合、子の扶養に入ることで所得区分が上がり、自己負担が増えることがあります。

介護保険料が上がるケース

介護保険料は世帯の住民税状況で決まります。

例えば、住民税非課税世帯であった親が課税世帯である子の扶養に入って同一世帯となった場合、親の介護保険料が上がることがあります。

介護保険料は、本人の所得だけでなく「同一世帯に住民税課税者がいるか」で段階が決まるためです。

介護施設費用が上がる可能性

介護施設では食費や居住費の軽減制度があります。

しかしこの制度は住民税非課税世帯が条件です。

親を扶養に入れることで軽減対象から外れるケースもあります。

親を扶養に入れる前に確認すべきポイント

親を扶養に入れる前に、次のポイントを確認しておくと安心です。

  • 税金の減税額
  • 国民健康保険の保険料
  • 高額療養費の所得区分
  • 介護保険料
  • 世帯判定

また、親の年金額によって扶養に入れるかどうかは変わります。

さらに、扶養の手続き方法についてはこちらの記事で解説しています。

よくある質問(FAQ)

親を扶養に入れると医療費は安くなりますか?

必ずしも安くなるとは限りません。

詳しくみる

親を会社員の健康保険の扶養に入れると、健康保険料はかからなくなりますが、高額療養費の自己負担限度額が上がる場合があります。

例えば、親が住民税非課税世帯だった場合、本来は低所得区分の上限が適用されます。
しかし、子どもの健康保険の扶養に入ると、子の所得区分が適用される可能性があります。

その結果、医療費の自己負担が増えるケースもあります。

親を扶養に入れると国民健康保険はどうなりますか?

親が会社員の健康保険の扶養に入ると、国民健康保険は脱退します。

詳しく見る

日本では75歳未満の人は必ず公的医療保険に加入する必要があるため、国民健康保険か会社の健康保険(被扶養者)のどちらかになります。

なお、親の収入が低い場合は、国民健康保険の方が保険料が安いケースもあります。

そのため、扶養に入れる前に保険料を比較しておくことが大切です。

親を扶養に入れると介護保険料は上がりますか?

上がる場合があります。

詳しく見る

65歳以上の介護保険料は、本人の所得だけでなく世帯の住民税課税状況で決まります。

例えば親が住民税非課税世帯、子が住民税課税の場合、親が子の扶養に入り同一世帯になると非課税世帯向けの軽減が使えなくなることがあります。

その結果、介護保険料が高い区分になるケースがあります。

親が75歳以上の場合も扶養に入れられますか?

健康保険の扶養には入れません。75歳以上になると、後期高齢者医療制度に加入します。

詳しく見る

後期高齢者医療では、健康保険の被扶養者という制度はありません。

そのため、75歳以上の親については扶養に入れる、扶養に入れないというより、後期高齢者医療制度の保険料や医療費を確認することが重要です。

税金の扶養と健康保険の扶養は同時に使えますか?

同時に成立することもありますが、別制度なので必ず一致するとは限りません。

詳しく見る

税金の扶養は「所得金額」が基準ですが、健康保険の扶養は

・収入
・仕送り
・同居

などの生計維持関係が確認されます。

そのため税金では扶養できるが健康保険では扶養不可というケースもあります。

親を扶養に入れると税金はどれくらい安くなりますか?

親を扶養に入れると、最大で年間10万円前後の節税になることがあります。

詳しく見る

例えば年収500万円の会社員が同居の親を扶養に入れる場合

所得税 約4万円

住民税 約3.8万円

合計約8万円程度の減税になるケースがあります。
詳しい減税額はこちらの記事で解説しています。

親を扶養に入れる判断は「税金+医療+介護」で考えることが重要

親を扶養に入れるかどうかは、税金だけで判断すると失敗することがあります。
実際の家計では、次のポイント総合的に確認することが大切です。

・扶養控除による減税額
・健康保険(国保 or 被扶養者)の保険料
・高額療養費の自己負担上限
・介護保険料の区分
・住民税非課税世帯の判定

例えば、親が住民税非課税世帯の場合は、

・医療費の軽減
・介護サービスの軽減
・施設費用の軽減

などの制度が利用できることがあります。

しかし、扶養に入れることで世帯の課税状況が変わると、こうした軽減制度の対象外になる場合もあります。

その結果、税金は数万円安くなったのに医療費や介護費用が増えてしまうというケースも実際にあります。

実際の相談でも「扶養に入れない方がいいケース」はある

実務的には「税金の減額」だけでなく「医療・介護費の増減」も確認して判断することが重要です。

税務や家計相談の現場でも、親の扶養については必ずしも扶養に入れた方が得とは限らないというケースがあります。

例えば次のようなケースです。
扶養に入れない方が良い可能性がある例

・親が住民税非課税世帯
・医療費が多い
・介護サービスを利用している
・介護施設に入る予定がある

このような場合、扶養に入れることで

・高額療養費の上限が上がる
・介護保険料が上がる
・施設費用の軽減が受けられなくなる

といった影響が出る可能性があります。

公的制度の情報は自治体や保険者によって異なる

健康保険や介護保険の制度は、基本的な仕組みは全国共通ですが、

・健康保険組合
・協会けんぽ
・自治体の国民健康保険

などによって、細かい条件や保険料が異なることがあります。

また、介護保険料は市区町村ごとに保険料が設定されています。

そのため、親を扶養に入れるか検討する場合は

・勤務先の健康保険
・市区町村の国民健康保険
・介護保険料

を確認して比較することが大切です。

最終的な判断は「家計全体」で考えるのがおすすめ

親を扶養に入れるかどうかは、単純に扶養に入れる=得とは限りません。

実際には

・減税額
・保険料
・医療費
・介護費用

などを合わせた家計全体の負担で考えることが重要です。

まとめ

親を子の扶養に入れるかどうかの判断は、税金だけでなく医療費・介護保険も含めて判断することが大切です。

親を扶養に入れると、確かに税金は安くなる可能性があります。
しかし、医療費や高額療養費、介護保険料などで不利になるケースもあります。

特に親が以下の場合は注意が必要です。

・住民税非課税世帯
・医療費が多い
・介護サービスを利用する可能性がある

まずは

  • 親の年金額
  • 国保保険料
  • 減税額

を確認して、扶養に入れるメリットを整理しておきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました