私自身、11歳、9歳、3歳の3人の子どもをもつ親として、さらに一番上の子が高校や大学といった”負担が大きくなる”年齢に近づいてきたこともあって、2025年度から始まっている、「多子世帯向け、大学無償化」の制度がとても気になってる。
ニュースではしばしば、
3人以上の子どもがいる家庭は、大学の授業料・入学金が原則無償
といった、かなり分かりやすい言葉で紹介されている。
ただ、制度の正式資料(文部科学省の説明資料)を実際に読んでみると、「無償」という言葉を鵜吞みにすると大きく勘違いが起こるんちゃうかな?という印象を受けた。
- 本当に全額がタダになるのか
- なぜ「3人目」に焦点を当てた制度なのか
- どの大学でも使えるのか
支援を「受けるかもしれない側の人間」として、この制度の実像を整理してみたい。
また高校進学へ向けた支援制度はこちら👇
Q1.まず「多子世帯の大学無償化」の全体像は?
扶養している子供が3人以上の世帯への支援拡充
いわゆる「多子世帯の大学無償化」は、分かりやすい通称みたいなもので正式には、
「高等教育の修学支援新制度」の拡充(多子世帯への支援)という位置づけで、すでに実施されている修学支援新制度を多子世帯向けに広げたもの。
制度の骨格を、文部科学省の公式説明をもとに整理すると、次のようになる。
- 対象世帯:扶養している子どもが3人以上いる世帯
- 対象となる学校・学生:大学・短期大学・高等専門学校・専門学校など
※「修学支援新制度の対象校」に限られる - 支援内容:授業料・入学金を、国が定める上限額まで減免
- 所得制限:原則なし(※資産要件など一部条件あり)
- 支援の形:いったん学費を納付し、後から減免・返還される方式が基本
つまり、「多子世帯なら大学が完全無料になる制度」ではなく、既存の支援制度を、所得制限を無くして、3人以上の子どもを扶養する世帯にも広げたものと理解した方がよさそう。
子ども3人以上の定義
この制度でいう「多子世帯(3人以上)」とは、学生本人を含めて、扶養されている子どもが3人以上いる世帯のことらしい。
ここで注意したいのは、「同時に3人が大学に通っている必要はない」という点。
文部科学省の制度では、大学に在学している子が1人でもその時点で、扶養関係にある子どもが合計3人以上いれば多子世帯として扱われる。
例えば私の場合、数年後の年齢構成にはなるけど
- 19歳で大学生の長女
- 17歳で高校生の次女
- 11歳で小学生の長男
というように、年齢や在学段階が異なっていても、扶養されていれば合算される。
扶養の判定は原則として
- マイナンバーを用いた住民税・税情報
- 扶養控除等の公的データ
をもとに行われ、自己申告だけで判断される仕組みではない。
そのため、
- 上の子が就職して扶養から外れた
- 進学せず独立した
といった場合には、「3人以上扶養」に該当しなくなる可能性がある。
つまり上記の例でいうと、長女が大学を卒業して就職すれば、扶養対象は次女と長男の2人となるので、この2人は支援を受けられない(次女は長女が卒業以降)ことになる。
年齢差が大きいほど不利な設計になっていることも理解しておく必要がある。
Q2.支援であって、無償ではない?
正しくは授業料・入学金の”減免”
報道では「大学無償化」なんて言われることがあるようやけど実際は、支援金による”減免”、簡単に言えば補助みたいなもの。
じゃあ、実際にどの程度の金額が支援されるのか。
文部科学省が示している、年額の支援上限はおおよそ次のとおり。
| 教育機関の種類 | 減免対象 | 国公立(上限) | 私立(上限) |
|---|---|---|---|
| 大学 | 入学金 | 28万円 | 26万円 |
| 授業料 | 54万円 | 70万円 | |
| 短期大学 | 入学金 | 17万円 | 25万円 |
| 授業料 | 39万円 | 62万円 | |
| 高等専門学校(高専 4・5年) | 入学金 | 8万円 | 13万円 |
| 授業料 | 23万円 | 70万円 | |
| 専門学校 | 入学金 | 7万円 | 16万円 |
| 授業料 | 17万円 | 59万円 |
※「支援上限額」は、国が定める一定額までの減免(授業料・入学金の負担軽減)であり、大学等が請求する全額が無条件にカバーされるわけではありません。
この数字を見ると、国立大学であれば、標準的な学費はほぼカバーできそうなので、この部分が「実質無償化」という言い回しにつかわれてんかな?
一方で、私立大学の場合は事情が異なる。実際にかかる費用としては
- 私立文系で年間90〜120万円
- 私立理系で年間130万円以上
というケースも珍しくなく、その場合、上限を超えた分は自己負担になる。
「無償化」という言葉から受ける印象よりも、実際は“上限付きの学費減免制度”が、正しい理解みたい。
Q3.大学側は授業料・入学金を値上げするんじゃない?
経営の苦しい大学はたくさんあるのであり得る。
国が授業料・入学金を一定額負担するという制度が前提となれば、その範囲内での学費の値上げがあっても、学生や家庭からみた「みかけの自己負担」は増えにくいという状況になる。
これは大学側から見ると、授業料や入学金を引き上げたとしても、その一部は公的資金によって吸収されるっていう構図が成り立つ。
実際、過去に「高等教育の修学支援新制度」が導入された際にも、
- 授業料や施設費を引き上げる私立大学
- 値上げと同時に「支援制度があるため、実質的な家計負担は大きく変わらない」と説明する事例
があったらしい。
もちろん、すべての大学がそうした行動を取るわけではないやろうけど、物価上昇や人件費増なんかが、学校経営を圧迫している大学は多いって聞く。
少なくとも、
- 学費設定は各大学に委ねられている
- 国の支援は定額・上限付きで行われる
という制度構造のもとで大学側も上手く立ち回る必要があるんだろうなと思う。
Q4. なぜ「3人目」なのか、制度の狙いは?
3人目を教育費等で悩む世帯が多いから。
文部科学省の資料では、この拡充の背景として、
すでに2人の子どもがいる世帯が、3人目を持つかどうか判断する際、将来の教育費負担が大きな不安要因になっている
という趣旨が示されている。
つまりこの制度は、
- 少子化対策
- 出生数の底上げ
を意識した、人口政策的な側面が強い支援だと言える。
ただ、個人的には少し引っかかる点もあり、そもそも3人目が生まれる前に2人目、そして当然まず子供を持つかどうかで悩む人が多く存在する。にもかかわらず、
- 1人目・2人目には所得制限付きの支援が中心
- 3人目が見えた段階で、大学支援が一気に拡大する
という設計になっている。
我が家でも、1人目、2人目を迎えた頃の方が、将来の教育費や生活費への不安は大きかった。
制度としては「3人目を後押しする即効性」を優先した結果なんだろうが、「すべては1人目から始まる」という視点で、少子化対策としてはやや弱い印象も残る。
Q5.どんな大学でも使える?
A.支援対象外の大学もある。
もう一つ重要なのが、この制度はすべての大学で使えるわけではないという点。
修学支援新制度では、大学側にも要件が課されていて、文部科学省が示している主なチェック項目には、
- 定員充足率が著しく低くないか
- 就職率・進学率が極端に低くないか
- 財務状況が継続不能な水準にないか
- ガバナンスや情報公開が行われているか
といったものがある。
要するに、教育環境がしっかり整っており、経営状況も悪くないことが条件です、っていうこと。
これらを満たさない場合、その大学は「修学支援新制度の対象外」となる。
実際に、制度対象から外れている大学も、文部科学省の公式資料で公表されている。
重要なのは、多子世帯であっても対象外の大学に進学した場合は、この無償化は使えないということ。
進学先を考える際には、その大学が制度対象かどうかを、必ず公式リストで確認する必要がある。
まとめ|「無償化」という言葉に期待しすぎないために
多子世帯向け大学無償化を公式資料ベースで整理してみると、次のような姿が見えてくる。
- 完全な無償ではなく、上限付きの減免制度
- 私立大学では自己負担が残る可能性が高い
- 3人目を後押しする政策色が強い
- 大学側にも要件があり、対象外の学校は実在する
こうした点を整理しないまま、聞こえの良い「無償化」という言葉だけを受け取ると、後から「思っていた制度と違う」と感じる可能性は高い。
やや誇張気味な表現や、分かりやすさを優先した見せ方はどうしても目につく。
だからこそ、制度の正確な内容と設計を一度きちんと押さえたうえで、自分の家庭の状況に当てはめて考えることが重要だと感じた。
「どこまでが支援で、どこからが自己負担なのか」
そこまで理解して初めて、この制度を冷静に評価できるのではないかと思う。





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