相続(亡くなった人の財産や借金を引き継ぐこと)では、
お金や不動産だけでなく、借金も引き継ぐのが原則です。
つまり、相続した財産の中に借金が含まれていれば、
相続人(遺産を受け取る人)に返済の義務が生じます。
ただし、
😫 借金しかない
😫 借金のほうが多い
😫 返済が難しい
という場合には、「相続放棄」という選択肢もあります。
この記事では、
を順番に整理していきます。
相続は「資産も負債も」引き継ぐのが原則
まず大前提として、相続では亡くなった人(被相続人:亡くなった人のこと)の
すべての権利や義務を引き継ぎます。
この原則は民法第896条に定められています。(Wikibooks:民法第896条)
第896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
引き継ぐものには、たとえば次のようなものがあります。
- 預金
- 不動産
- 株式
- 借金
- 保証人としての義務
つまり、「プラスの財産」も「マイナスの財産(借金)」も、まとめて引き継ぐのが原則です。
借金だけを放棄することはできる?
よくある疑問ですが、借金だけを放棄することはできません。
「預金はもらうけれど、借金は払わない」ということはできない、ということです。
相続は、基本的に
- すべて引き継ぐ
- すべて放棄する
のどちらかになります。
相続放棄について
相続放棄とは、
最初から相続人でなかったことにする制度です。
相続人とは、遺産を受け取る立場にある人のことです。
相続放棄をすると、その立場そのものをなくします。
手続きは家庭裁判所で行います。
詳しい流れは裁判所 に説明があります。(相続放棄の手続き:裁判所)
注意点は次のとおりです。
- 自動ではない(手続きが必要)
- 一部だけ放棄はできない
- 放棄すると他の相続人に権利が移る
相続放棄には期限がある
相続放棄ができる期間は、
相続が始まったことを知ったときから3か月です。
この3か月を「熟慮期間」といいます。
何もしないまま3か月が過ぎると、
相続を認めたとみなされる場合があります。
借金が後からわかったらどうなる?
一番不安になりやすい部分です。
原則として、3か月を過ぎると放棄はできません。
ただし、
- 借金の存在を本当に知らなかった
- 普通に調べても分からなかった
といった事情がある場合、
「いつから3か月を数えるか」が問題になることがあります。
これは自動的に認められるわけではなく、最終的には裁判所の判断になります。
そのため、相続が始まったら、早めに財産と借金の確認をすることが大切です。
借金がある場合の相続税はどうなる?
ここも誤解が多いところです。
相続税は、亡くなった人の財産にかかる税金です。
相続税は、
財産の合計 − 借金の合計
で計算します。
つまり、借金は差し引いて計算できます。
👉 遺産に借金しかない場合
財産が0円で、借金がある場合、
財産 − 借金 = マイナスになります。
この場合、相続税はかかりません。
👉 借金が財産より多い場合
たとえば、
財産 500万円
借金 800万円
なら、差し引き −300万円です。
この場合も相続税はかかりません。
ただし、税金がかからないからといって、
借金の返済義務が消えるわけではありません。
相続放棄をしなければ、返済義務は引き継ぎます。
相続税の基礎控除
相続税には基礎控除があります。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
法定相続人とは、法律で決められた相続の順番にいる人のことです。
たとえば、相続人が2人なら、
3,000万円 + 600万円 × 2人= 4,200万円
までなら相続税はかかりません。
相続したお金は確定申告が必要?
相続で受け取ったお金は 所得税の対象ではありません。
なぜなら、相続財産は
👉 相続税の対象
👉 所得税とは別の税金
したがって、相続人が相続によって受け取ったお金(相続財産そのもの)については、
原則として所得税の確定申告は不要です。
「限定承認」という選択肢
相続には、「限定承認」という制度もあります。
限定承認とは、
もらった財産の範囲内でだけ借金を払う方法です。
ただし、
- 相続人全員で行う必要がある
- 手続きが複雑
という特徴があります。
実務では、相続放棄のほうが選ばれることが多い制度です。
まとめ
相続では、財産も借金もまとめて引き継ぐのが原則です。
借金だけを放棄することはできません。
したがって選択肢は、以下のいずれかになります。
もし借金がある場合でも、
を整理してから判断することが重要です。
不安だけで動くのではなく、まず全体像を確認することが先です。




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